心理カウンセラー 炭屋由美子

「家族関係の悩み」絡まった糸を解くということは?

人はコミュニケーションの取り方を、家族の関係性の中で学ぶ。

オギャーって産まれ落ちたその瞬間から、自分を取り囲む環境、それがアイデンティティーの源になって行く。

家族の関係性の中でどんなことを学んだか?

それが、いまの生活の中にどのような形で表出されているか?

そのことによってコミュニケーションにどんな影響があるのか?

いま、家族や身近な人との間で、何らかの苦しみを感じている人は大変多いでしょう。

一番近い関係だからこそ、大事と思う関係だからこそ、その悩みは深く、もつれて行くのです。

自分が意識しているかいないかはともかく、何でこうなるんだろう?

いつも同じところで、同じ反応が出るのはなぜだろう?

ついやってしまうパターンや反応などの原点には必ず、生まれ育った家族との関係性が影響していることが多々あります。

なので、いま現在起きている問題や違和感などを探求して行こうと思えば、必ず自分の原点となっている家族との関係性にまで遡ることになるのです。

例えば、ただ受け止めて欲しかった。愛しく抱きしめて欲しかっただけなのに、それがもらえなかった。

下の弟や妹にだけに優しくて、自分がほっとかれたときの、寂しさや絶望感、あなたはお姉ちゃんでしょう、と言われたときの悔しさ、切なさ、一番欲しかったときにもらえなかった、あの時の感情。

その時に幼い私が学んだことは、わがままをいうと嫌われる。

いい子にしてないと認めてもらえない。

だから聞き分けの良い子、問題の無い子、という涙ぐましい努力をしていきます。

幼い私が、傷つかないように、生き延びるための精一杯の戦略でした。

幼少期というのは親に依存していないと生きていけないのです。親が全てですから。

親のちょっとした言葉の端々から、子供なりの解釈をして傷ついたりしているのです。

親にしてみれば「そんなつもりはいささかも無い」ということでも理解のしようがありません。

何しろ親が全てですから。

でも親も完璧では無いのです。親だって初めて親になったわけだから、不器用なままで、不安なままで子供に当たったりすることや、子供にとって訳のわからない言動を取ってしまうこともたくさんあったでしょう。

これはもうしょうがないことです。

そういった中で絡まった糸は、どうやってほどいて行くのでしょうか?

これは幼少期の事であって、大人の私には関係ない?本当にそうでしょうか?

それは無意識レベルでは、しっかり残っていて、気付かないレベルで私たちの感情を動かしている。

そして大人になって、同じような感情を繰り返し味わうことがあります。

小さい頃にあったあの感情が、相手を変え、時が変わっても現れる。

そのような感情のもつれを、解くには、ちゃんとその時の感情を表に出してあげて、いまの私が認めてあげることが大事なことです。

「あ~確かにあったよね~」「寂しかったよね~辛かったよね~」なかったことにして、ごめんね~ってちゃんと感じて抱きしめてあげることが大事です。

そうするとその感情はスーッと蒸発していきます。

自分で自分の潜在意識の感情を認めて行くってことが大事です。

過去は過去においてくるってことです。

自分の中にある未完了の感情を本当に認めて癒してあげることができたら、そこから本当の自分の輝きが溢れてきます。

それは誰でもなく、あなた自身にしかできないことです。

一番近しい家族の中で、絡まった糸を一つずつ解いて行くことが、愛の再確認をすることにも繋がって行くのではないでしょうか。